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2009年10月12日

☆★PICK UP BRAND 番外編~ココ・シャネル 第5章~★☆

第5章 消えることの無いモードへの情熱
ココはパリを去ってから15年もの間、物思いに更けていた。同じ時を過ごした友人達は次々にこの世を去っていく。このまま自分も朽ち果てるのだろうか。
嫌だ、もう一度ファッションの舞台に戻りたい。消えかかっていた情熱がふつふつと沸き上がる。
一方、パリではクリスチャン・ディオールというファッションの帝王を迎えていた。彼が提案するニュールックは戦争で衰退していたファッション界を蘇らせた。
ココにはそれが許せなかった。ラインを強調するニュールックはココが1920年代に開放した女性の体を、コルセットやウエストニッパーに押し戻すスタイルだったのだ。
戦わなくては、ココは決意した。71歳の彼女がかつてのような情熱に燃えてパリに戻ってくる。15年ぶりにカンボン通りの店に入ると、助手達に電報を打った。
「すぐに来てちょうだい。私達はあと10年しか働けないのだから」戻ってきて最初のコレクションは古臭いと酷評される。しかし、動きやすくエレガントなシャネルスーツは働く女性の多いアメリカで歓迎され、1955年にアメリカでモードオスカー賞を取ると、再びシャネルが流行りだす。気が付けばココはファッションの女王に返り咲いていた。
ココの最後の恋人は仕事だった。パリに手酷く拒絶され、すっかり人嫌いになったココは住居にしていたホテル・リッツとカンボン通りのアトリエを往復する毎日を過ごした。
ファッションへの情熱は絶えることなく、死ぬ寸前までハサミを握り続けた。
「私は仕事が終わってしまうのが怖い。だから日曜日は嫌い。もう仕事に戻れないかもと思うのよ。友達に会うと帰ってしまうのが怖い。そして一番怖いのは誰も愛せなくなったことよ。」
80歳を過ぎたココの言葉だ。
そして1971年1月10日、日曜日の朝に彼女は88歳で人生の幕を閉じたのである。



 美しさは武器であり、装いは知恵であり、謙虚さはエレガントである
                                            ガブリエル・シャネル



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